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【Jolly LLB 2】

【Jolly LLB 2】

監督:スバーシュ・カプール Subhash Kapoor

出演:アクシャイ・クマール、フマー・クレーシー、ソウラーブ・シュクラ、アヌ・カプール、サヤーニー・グプター

トレイラー

ストーリー

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ラクナウで弁護士をするジョリーことジャグディシュワル・ミシュラー。いつになってもうだつが上がらず、普段は大物弁護士リズヴィーのアシスタントとして働いている。ある日ジョリーは裁判所で死んだ夫の裁判ために弁護士をさがしているという女性ヒナー(サヤーニー・グプター)と出会う。彼女の夫はカシミール出身のテロリストに間違えられて逮捕されたうえ、警察は銃撃戦を装って射殺してしまったというのだ。

父にいいところを見せるためにまとまった金が必要だったジョリーはヒナーに20万ルピーでリズヴィーに依頼してやると空約束をする。金をだまし取られたと知ったヒナーはジョリーを罵った後で自殺し、ジョリーはリズヴィーに破門される。

自らの行いを深く悔いたジョリーは、ヒナーの夫の死は警察による偽装銃撃戦の結果だとして、警察を相手に公益訴訟を起こす。裁判でジョリーの相手となるのは辣腕として知られるプラモード・マトゥール(アヌ・カプール)。そして裁判長はデリーから転任してきた、あのトリパティー判事(ソウラーブ・シュクラー)だった!

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ダメ弁護士の奮闘ぶりを描いた法廷コメディ【Jolly LLB】(2013)の続編。インド映画の続編には本当の意味での「続き」という続編と、まったく別の話ながら作品のコンセプトや主要キャストが同じシリーズという意味での続編の2種類がありますが、本作はその中間。時間的に続きながら、1人を除き登場人物はすべて入れ替わり舞台も異なります。

キャストは主役が前作のアルシャド・ワールスィーからアクシャイ・クマールに。ヒロインは前作のアムリター・ラーオからフマー・クレーシー。アクシャイの法廷での敵役は前作のボーマン・イラーニーからアヌ・カプール。すべて入れ替わりましたが、ただ1人だけ、判事役のソウラーブ・シュクラーだけが連続出演です。

インドでは基本的に弁護士は供給過剰。これまでのインド映画の裁判モノに出てくるような大きな訴訟に携わるのはほんの一部のエリートだけで、ほとんどは小さな訴訟をこなしたり、本作の主人公のように大物弁護士のアシスタントをするなどして、なんとか生計を立てています。一方、いろいろと冴えない主人子がある出来事をきっかけに一念発起して活躍するというのはインド映画の定番。【Jolly LLB】シリーズはそんなインドのリアル弁護士事情とインド映画のダメ主人公の改心ストーリーが上手く結びつけれられています。

前作のジョリーもダメ弁護士でしたが特に大きな悪事はしていません。ところが本作のジョリーは大物弁護士への依頼の前金と称して大金を受け取り私用に供するというというとんでもない悪事をしでかし、金を払った女性は自殺。当然ながらアシスタントの職はクビ。弁護士資格も喪失の危機に陥ります。自分のせいだとはいえ、これ以上ないどん底から、再起と贖罪のための悪戦苦闘が始まります。

今回ジョリーが対するのは、テロリストと間違えて一般人を誤認逮捕したうえ、偽装銃撃戦(後述)で射殺したという警察官、そしてそれを弁護する百戦錬磨のマトゥール弁護士。ジョリーは途中で撃たれたりしますが、カシミールから脱獄犯(元警察官)を証人として連れてくるなどの大技で、なんとか法廷での戦いを続けていきます。

そんな裁判を裁くのは前作から連続で登場のトリパティー判事。デリーの裁判所から転任してきたことになっています。他の映画で見られる厳めしい裁判官とは違い、トリパティー判事はちょっと風変わりなオジサンといった感じ。それでも、ジョリーのやり方がどんなにハチャメチャでも正しい部分は受け入れるし、大物弁護士マトゥールでも間違っていることははねつける、実は有能な判事です。本作の主人公はタイトルにもあるジョリーですが、作品を最後まで観ると、本当の主人公はトリパティー判事であり、彼が代表するインドの司法制度なのだとわかります。いろいろドタバタを描きながらも、作品はインドの司法への深い信頼に裏打ちされており、それが作品の魅力になっています。

主演がアクシャイ・クマールに代わり、作品としても大型化したため、前作のユーモラスでのんびりとした感じはいささか薄れています。しかし、その分はより高まったドラマ性が十分以上に埋め合わせており、娯楽性と社会性を兼ね備えたボリウッドらしい作品として楽しめます。

音楽

「Go Pagal」

バケツかぶって踊ってます。前作に比べておバカ度が足りないと思っていたら、この曲で一気に取り返しました。

「Bawara Mann」

「Jolly Good Fellow」

プロモ用の曲。最初、フマー・クレーシーだと気づきませんでした。ウィグの効果は絶大。

アクシャイ・クマール  ジョリーことジャグディシュワル・ミシュラー役

ダメ男が奮闘する話は大得意のアクシャイ。【Singh Is Kinng】(2008), 【Singh Is Bling】(2015)のシリーズ、少し前なら【Chandni Chowk To China】(2009)などもあります。ダメ弁護士の奮闘記である本作にまさにうってつけです。もっともアクシャイだと弁護士の制服といえる黒のスーツが決まりすぎてしまい、外見だけではダメ弁護士に見えないのが難点でしょうか。

ソウラーブ・シュクラー トリパティー判事役

本シリーズの「顔」、トリパティー判事。外見もやることもすべてがユーモラスですが、ここぞという時には優れた裁判官の能力を発揮します。さすがに監督がインドの司法制度を象徴させただけはあります。ソウラーブ・シュクラーは【PK】(2014)では教祖役で強烈な印象を残しました。本シリーズの判事役といい、ボリウッドを代表する個性派バイプレイヤーです。

フマー・クレーシー  ジョリーの妻プシュパー役

気立てが良く、おおらかな奥さん役。ジョリーとはある意味で似た者夫婦です。結構コメディもいけそうなので、これからも期待してます。

敵の弁護士にアヌ・カプール。悪くはありませんが、前作のボーマン・イラーニーに比べると役に深みが欠ける気がします。夫の裁判のためにジョリーに金を支払う女性に【Margarita with a Straw】(2014)、【Fan】(2015)に出演のサヤーニー・グプター。序盤だけの登場ですが印象的な演技。

トリパティー判事はアーリヤー・バットの大ファンという設定。裁判所の控室にはアーリヤーの写真が貼ってあり、休み時間には【Shaandaar】(2015)の「Gulabo」に合わせて体操したりします。【Student of the Year】(2012)は11回観ており、アーリヤーをマドゥバーラーやマードゥリーの流れを受け継ぐ大女優だと絶賛しています。

【Jolly LLB 2】を観るときに知っておくといい警察・法律関係の事柄を2つ。1つは「公益訴訟」と訳されるPIL(Public Interest Litigation)。裁判を行うことが公益にかなうと考えられる事象について、第三者が原告として裁判を起こせるという制度。本作の事件では、当事者は射殺され妻は自殺しており、通常ならば原告不在で裁判は起こせませんが、ジョリーがPILとして提訴しています。

もう1つは「Fake encounter」。「偽装銃撃戦」は仮訳です。本来は、警察は逮捕した犯罪者を起訴して裁判にかけますが、裁判は時間がかかるうえに結果がどうなるかわからないことから、「犯人が逃亡を図り、抵抗してきて銃撃戦になった」として射殺してしまうことをいいます。真相が表に出ることはほとんどありませんが、警察が銃撃戦により射殺と公表した事件のかなりの部分がこの偽装銃撃戦ではないかとも言われています。最近公開の【Raees】でも出てきます。

【Jolly LLB 2】

インドの裁判風景をのぞいてみたい人、トリパティー判事の名判事ぶりを見たい人、トリパティー判事とアーリヤー・ファン対決をしたい人、おすすめです。