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筒井康隆『乱調文学大辞典』

筒井康隆『乱調文学大辞典』

ツツイストから、特に「巻末付録 あなたも流行作家になれる」を

薦められて、読んでみた。本編の「乱調文学大辞典」も通読した。

巻末付録は、期待ほどは面白くはなかった。しごく真っ当なことを、

きちんと書いているというように思え、パロディで本人は書いている

つもりだと明言しているのだが、パロディにはどうしても思えないのだ。

解説で吉行淳之介が引用しているように、創作方法を大便排泄のたとえで

語っている下りは、「生理的」に納得してしまった。ここは、巻末付録の

白眉と思われる。

本編の「乱調文学大辞典」は、本人が「マンネリ」と書いているように、

段々飽きて来る。下ネタに走り過ぎていないか、という危惧も感じた。

筒井さんの創作作品に比べると、ちょっとレベルが落ちるかなあと思わずには

いられない。とはいえ、「横光利一」の項は素晴らしかったので、ここに引用する。

「紋章」の主人公で発明狂の雁金八郎は、日本純文学史上初のマッド・サイエンティストである。

いや正にこの通りなのですよ。しかも、雁金八郎は特許訴訟を濫発するのですわ。

横光利一ファンとしては、やはり何とも評価できない『旅愁』ではなくて、『紋章』を最高傑作として推したいのです(うわ、筒井論から横光利一論に移ってしまったわ)。

ちなみに、ビアースの『悪魔の辞典』は未読ですが、おそらく時代的に古びてしまった項目も多いと思われるので、ここは筒井さんの言う通り、この「乱調文学大辞典」の方を積極的に参照して楽しむべきでしょうね。