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第89回アカデミー賞授賞式

NHK-BS3での第89回アカデミー賞授賞式の総集編を見ました。

いつもは録画で見るのですが、今年は気になることが多かったので、終わりまでオンタイムで見ることに。

さんざん指摘されているように、トランプ政権のおかげで、差別と分断がアメリカ社会を覆うなか、司会者の会話や受賞者のスピーチには政権への皮肉と差別への反対のことばが目立ちましたが、それぞれのスピーチを聞いているうちに、映画という媒体でこのような悲劇的状況と戦っている映画人にとって、この場で発言せずにはいられない、またはそうすべきとの強い信念に裏打ちされたものであることがはっきりと読み取れました。

選挙で勝とうが、世論で多数派を占めようが、差別や排外主義は民主的社会にとってはまったく受け入れられないものであり、アメリカの映画人はこのような潮流に対して明確にNOを表明することが一種の責務だと考えているのだと思います。

商業主義の総本山のようである映画産業であっても、映画関係者がこのような矜持を持って差別や排外主義に反対をアピールすることは非常に心強く、またアメリカの懐の深さを思い知るのです。

また、見ていて毎回思うのは、それぞれの受賞者の感謝のスピーチにはその人個人の業績よりもそれを支える周囲への感謝のことばを聞くことで、どのような仕事でもさまざまな人々の協力で成り立っているという単純な事実に改めて思い至るわけです。

素直に感謝のことばを述べる受賞者のスピーチは見ていて大変気持ち良いものです。

教育勅語を礼賛し、「日本に生まれたことは特別だ」などとのたまう学校法人の理事長の反吐が出るような記者会見の後に、これを見ることができるのはある種の救いでもあるでしょう。

これからの世界はこうした差別と排外主義との果てしない戦いに終始するのではないか、と暗澹たる思いもありますが、希望もないわけではないのかな、と思えるアカデミー賞の授賞式でした。